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登山小説書いてます(5)

北口の改札を出ると土曜日ということもあり、休日を楽しむ人々で溢れかえっていた。以前までの自分であれば、孤独な者としてこの空間は受け入れられなかっただろう。だが今日は孤独ではない。大袈裟かもしれないが、河西夏海という救世主が私に会いに来てくれるのだ。そう思った瞬間、気持ちの高ぶりにまた胃が反応しそうだった。念のためドラッグストアに立ち寄り、薬剤スタッフのアドバイスを受けながら胃薬を購入した。そして朝食をあまり食べられなかったことや時間潰しも兼ねて、ファミレスに向かうことに決めた。ファミレスの扉を開けると、それに反応するように電子音のチャイムが鳴る。それに気付いたファミレススタッフたちが「いらっしゃいませー」と一同に声を上げる。周りを見渡すと、まだ昼前ということもあり客足は疎らだった。端正な顔立ちをしているが、高校生くらいだろうか。 1人の若い女性スタッフが私に駆け寄り「何名様ですか?」と声を掛ける。
島田「あ、えっと1人です」
女性スタッフ「分かりました。ではこちらの席でよろしいでしょうか?」と言い、窓際の眺めの良いテーブルに誘導してくれた。
島田「ありがとうございます」と緊張した面持ちで答える。
女性スタッフ「商品がお決まりになりましたら、テーブルにある呼び出しボタンを押して下さいね」と笑顔で答え、厨房のある方に向かって行った。
ソファーに腰掛け窓の方に目をやると、駅前通りということもあり家族連れやカップルたちが如何にも休日を満喫していますといった表情で行き交っていた。私はその空気を受け入れることができ、自然と笑顔になっていた。少し緊張感が緩んだところで、今日の予定について冷静に考えることにした。まずは胃の痛みを何とかしなければならないと考え、ドリンクコーナーでコップに水を注ぎドラッグストアで購入した胃薬をその水で流し込んだ。河西夏海と会う予定時間まで3時間くらいはある。少し食事を摂って、ファミレスでのんびり過ごしても良いかもしれない。そういえば胃に優しい食べ物は何が良いだろうか。数分間メニュー表を見ていると、先程の女性スタッフが「ご注文はお決まりになりましたでしょうか」と優しい口調で声を掛けてきた。
島田「あの…胃の調子があまり良くないんですけど、こういう時って何食べたら良いんでしょうかね」と頭を掻きながら素直に女性スタッフに尋ねてみた。
女性スタッフ「ではフレンチトーストなどは如何でしょうか。ミルクと卵で浸したパンを焼いているので胃に優しいと思いますよ」
島田「じゃあ、それでお願いします。あとコーヒーも」
女性スタッフ「胃の調子が良くないのでしたら、コーヒーはあまり飲まないほうが宜しいかと思いますが」
島田「確かに、コーヒーは良くないですよね。じゃあ水だけにします」
女性スタッフ「メニュー表をお下げしますね。また何かご入り用でしたらボタンを押してください」そう言うと、また厨房の方に向かって行った。若いのにしっかりしていると感心しながら、水を一口飲みつつ窓越しから立川の街路を眺めるのだった。