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TJAR2022 14番 木村直正選手によるSAYAMA works Fast Yari ファーストインプレッション 其の一

2022年7月2日の夜
「TJAR2022(※2)に出場できることとなりました木村と申します。もし可能であれば、SAYAMA worksのザックを本戦で使用させて頂けないでしょうか」
 この一通のメールが届いたことから、SAYAMA works のNEWバックパック企画は始まった。

 木村さんはKansai Longitudinal Trail Race2022(※1)を優勝するほどの強者。そんな選手が求めるバックパックは相当な代物になるに違いない…と薄々感づいていた。そこで木村さんにzoom会議で問うと、やはり現行品のFastと同じデザイン・容量ではなくトレイルランニング仕様のショルダーハーネスと18Lの本体容量・逆三角形のデザインを希望とのことだった。そのようなショルダーデザイン・本体容量のバックパックはSAYAMA worksには存在していなかったため、まずはイチから型紙を作ることから始めた。その型紙に軽量なパーツやゴム紐をどのように配置するべきか、過去の経験を基にイメージを膨らませる。ここ数年は経営に専念していたために積極的にミシンを踏んでいなかったが、久しぶりに自ら集中してサンプル作成を行う。とはいえ、TJARの開催日まで時間も足りなかったため、サンプルバックの本体片側だけフロントポケットやパーツを付ける。だがトレイルランニング仕様のショルダーハーネスは、作成の経験が浅かったため難儀した。そこで昔からお付き合いのあるマウンテンマーシャルアーツ ディレクターの渋井氏に打診。ダスティV2(https://runnerspulse.jp/yshibui/archives/35229/)
のショルダーハーネスを使わせてほしいと依頼したところ、「いいですよ」と快く承諾して下さった。正直言って、嬉しさのあまり脳内ではアドレナリンが出っ放しになった。そのテンションの勢いを借りつつ、7年間ブランドを継続してきた自分の直感力もプラスして初回サンプルバックパックが出来上がった。

※1 略称KLTR。和歌山県の太平洋側の那智海岸をスタートし、熊野古道、高野山、ダイヤモンドトレール、生駒山系、京都トレイル、比良山系、高島トレイルと日本の古き良き伝統を感じられるトレイルを辿り、日本を縦断して福井県気比の日本海側の松原海岸をゴールとする約400㎞の山岳耐久レース。

※2 詳細はhttps://www.tjar.jp/ を参照。

TJAR本戦まで時間がなかったため、バックパック本体の片側だけ作成。生地は軽量なら何でもよかったためLS07を使用。ロールトップ部分はイメージだけ伝えて、工場で取り付けてもらうことにした。

ショルダーハーネスも片側だけ作成。デザインは基本的にMMAのダスティV2だが、上部にモールシステムを採用。TJAR本戦に間に合わせるためにも、Fastのガジェットは便利だ。こういった機転が利かせられるのも、SAYAMA works独自の理念が活かされている結果だろう。

工場と打ち合わせの末、工場から上がってきた2ndサンプル。TJAR戦士にも好評な、TJAR専用のパッドをショルダー内部に封入。8日間の過酷な環境で肩が疲れないようにした。ショルダーハーネス下部の各ポケットはダスティV2のデザイン・仕様をそのまま採用。伸縮性のあるメッシュを起用し、様々な小物を入れられる点はさすがダスティV2といったところ。
木村さんの希望で、ドラゴンボールの天下一武道会の武道着カラーにした。

本体前胴側のデザインは逆三角形にし、背中に重心がくることで走りやすい形状に仕上げた。両サイドの大容量ポケットは、ショルダーハーネスポケットと同じ伸縮性のある生地にした。
木村さんからの要望で、前胴中心にセンターファスナーがある点は通常のFastと同じ。

ただ作るだけでは今後の修正・変更点は見出せないため、実際に1泊2日で上高地〜槍ヶ岳をピストン。どうすれば木村選手に快適な背負い心地を提供できるのか…やはり現場でのフィールドテストは役に立つ。登りと下りの違い等も含めて、プラパーツや生地の配置など、快適さに必要な様々な改良点を見つけることができた。

2ndサンプルとはいえ、ここまで迅速にクオリティの高いものを作ってくれた工場には感謝しかない。

木村さんの希望で、背胴側には畳んだウレタンパッドがドッキング出来る仕様にした。

木村さんに最終形態として提供したのが、上記のバックパック。
ウエストモールアタッチメントシリーズのボトルホルダーとスクエアポーチがドッキングできるので、背負ったままで小物系や行動食を取り出すことができる。それに加えてショルダーハーネスがMMAのダスティV2になっているのだから怖いものなしだ。最終形態のバックパックを直接見た木村さんからも、「このバックパックで本戦に出ます!」との言葉を頂いた。
1ヶ月の激務に耐えただけの言葉を頂いて感無量と言ったところだが、レースが終わるまでは気が抜けないのがTJARの面白いところ。

そして8月7日0:00
TJAR2022が富山のミラージュランドからスタートした。
その後の経緯については今後報告書等出版されるので、それを楽しみに待ちたいところだが。
木村さんはMMA×SAYAMA worksのバックパックを背負って、土井さんに続く第2位(5日と14時間7分)という偉業を成し遂げたのだった。
https://www.instagram.com/p/ChJicfCuvp_/?igshid=YmMyMTA2M2Y=

TJAR2022 14番 木村直正選手によるSAYAMA works Fast Yari ファーストインプレッション 其のニに続く。